レストレスレッグス症候群(RLS)はどんな病気? 症状と要因、対処法を徹底解説

レストレスレッグス症候群(RLS)はどんな病気? 症状と要因、対処法を徹底解説|睡眠に関係する病気の種類|睡眠に関係する病気|快眠方法・安眠方法

レストレスレッグス症候群(Restless Legs Syndrome:RLS)とは

レストレスレッグス症候群とは、主に下肢に対して不快感を覚える病気です。特徴としては、座っていたり、横になっている時などに、脚が落ち着かず動かしたくてたまらなくなる症状が挙げられます。従来、「むずむず脚症候群」と呼ばれ、症状から「下肢静止不能症候群」とも呼ばれていました。

講義や公共交通機関の車内など、一定時間大人しくしていなければならない状況に置かれると脚がむずむずして、脚を動かさなければ耐えられない状態になります。そして脚を動かすと症状は和らぎます。「むずむず」が「ひりひり」になったりもしますが、症状が進行するにつれて激しい痛みを感じるようになります。これは「虫が這うような、火照るような、針で刺されたような」非常に我慢するのが大変な痛みとなるそうです。

この症状に悩まされているのは日本の人口の2〜5%ほどと言われ、そのうち治療を施さないといけないレベルの重い症状の人は3分の1から2分の1ほどだそうです。

妊娠中にこの症状が起こることも少なくなく、罹患者は妊婦のおよそ20%とも言われていますが、その殆どは授乳期間が終わるまでには症状が落ち着くと言われています。

子供がレストレッグス症候群にかかると、落ち着かない行動から「注意欠陥多動性障害(ADHD)」と診断されたり、痛みを伴う症状が「成長痛」と誤診されてしまう場合も少なくありません。

レストレスレッグス症候群(RLS)の具体的な症状

ある程度症状が重くなると、下肢だけでなく、下腹部や、腕、背中にも広がっていきます。
具体的には以下の通りです。

・周期性下肢運動障害
不快感や痛みなどの症状が脚だけに出るもの

・周期性四肢運動障害
上記症状が手足全体に広がるもの

立ち上がって歩くなど、体を動かせば症状は和らぎますが、再度座ったり、横になると症状が現れます。RLSに罹患すると、この繰り返しになります。

夕方から夜にかけての遅い時間帯に症状が現れやすいと言われていますが、日中に症状が出る場合もあるようです。

RLSの大きな問題は非常に重い不眠を起こすことで、症状がひどくなると、就床して5分、10分で症状が出て、結果朝まで一睡もできないことも珍しくないと言います。死に直結することはないものの、眠れないストレスは生活に大きな影響を与えます。

レストレスレッグス症候群(RLS)の主要因

RLSは、発症要因によって、1次性RLSと2次性RLSの2種類に分けられます。

1次性RLS

1次性RLSの原因については詳しくはよくわかっていません。

しかし以下のような原因が考えられます。

・神経細胞の異常
・鉄分の欠乏

神経伝達物質であるドーパミンの機能不全によって、症状が出てしまうという説が有力視されています。また、鉄分はドーパミンを作るのにも使われており、鉄分の不足が原因でドーパミンの機能不全や代謝異常を起こし、脳から脊髄、末梢神経に至る経路に不具合が起こると言われています。

・遺伝
RLSは同じ遺伝子を持つ家族や親族が罹患しやすいという研究結果もあります。特に子供や若いうちに発症することが多いです。概ね45歳以下の若年層が罹患する場合、遺伝的な要因であることが多いと言われています。

若いうちは比較的ゆっくりと進行し、45歳以上になると急激に症状が進行する傾向にあるようです。

2次性RLS

2次性のRLSには、以下のような原因が考えられています。

・ 鉄欠乏症、腎不全
・ 自律神経の不調、失調
・ 睡眠障害

レストレスレッグス症候群(RLS)を患ったら

RLSと思われる症状が出た場合は、睡眠科、あるいは睡眠外来で診療を受けることが大切です。むずむず感から皮膚科を受診する人が多い傾向にありますが、原因が皮膚ではなく神経や代謝であるため、皮膚科では適正な診断、治療は難しいです。近くに睡眠科がなければ、神経外科、神経内科で診察を受けましょう。

症状が悪化する可能性があるので、就床前にニコチンやアルコール、カフェインなどの摂取は控えましょう。

レストレスレッグス症候群(RLS)の5つの必須診断基準

<主な睡眠障害>睡眠障害国際分類(ICSD-3)

① 脚を動かしたいという強い欲求が常にではないものの、通常不快な下肢の異常感覚にともなって、あるいは異常感覚が原因と感じて起こる。

② その強い欲求および異常感覚が、安静にして、静かに横になったり座ったりしている状態で始まる、あるいは増悪する。

③ その強い欲求および異常感覚は、運動によって改善する。

④ 安静時におけるその強い欲求および異常感覚が、日中より夕方・夜間に増悪する。

⑤ これらの特徴を持つ症状が、他の疾患・習慣的行動で説明できない。
(筋肉痛、静脈うっ血、下肢浮腫、関節炎、こむらがえり、特定の体位における不快感、フットタッピングなど類似疾患を鑑別除外)

レストレスレッグス症候群(RLS)を治すには

従来はマッサージや指圧、ストレッチなどに頼っていました。しかし近年は新薬も開発されています。

RLSの患者全てに効果があるとまでは言えませんが、症状を薬によってある程度コントロールできる環境になりつつあります。

こんな快眠方法・安眠方法の記事も人気です。

関連記事

  1. 睡眠障害は医師の診断が必要!気になる症状7タイプ!|睡眠障害とは|睡眠に関係する病気|快眠方法・安眠方法

    睡眠障害は医師の診断が必要!気になる症状7タイプ!

  2. 睡眠薬を安全に効果的に服用しよう|睡眠薬とは|睡眠に関係する病気|快眠方法・安眠方法

    睡眠薬を安全に効果的に服用しよう

  3. 概日リズム睡眠障害を改善し身体のリズムを整えよう|睡眠に関係する病気の種類|睡眠に関係する病気|快眠方法・安眠方法

    概日リズム睡眠障害を改善し身体のリズムを整えよう

  4. 寝ていても目が覚めてしまう中途覚醒とは?

  5. 睡眠薬を安全に効率よく摂取する方法|睡眠薬とは|睡眠に関係する病気|快眠方法・安眠方法

    睡眠薬を安全に効率よく摂取する方法

  6. 薬物的原因で不眠症になる前に知っておきたいこと

  1. 睡眠薬を安全に効率よく摂取する方法|睡眠薬とは|睡眠に関係する病気|快眠方法・安眠方法

    睡眠薬を安全に効率よく摂取する方法

    2019.06.24

  2. 赤ちゃんの夜泣きが大変なのは4ヶ月まで!体内時計が夜泣きの原因?

    2018.08.12

  3. パジャマの選び方で睡眠の質を高める|環境づくり|熟睡のためにできること|快眠方法・安眠方法

    パジャマの選び方で睡眠の質を高める

    2019.06.24

  4. 快適な布団を保つためのお手入れ方法|環境づくり|熟睡のためにできること|快眠方法・安眠方法

    快適な布団を保つためのお手入れ方法

    2019.06.24

  5. 効果的な昼寝で認知症予防と作業効率アップ!|睡眠の仕組み|睡眠の基礎知識|快眠方法・安眠方法

    効果的な昼寝で認知症予防と作業効率アップ!

    2019.06.20

  6. 寝汗をかくことで快眠を手に入れる|睡眠中の気になるあれこれ|睡眠の基礎知識|快眠方法・安眠方法

    寝汗をかくことで快眠を手に入れる

    2019.06.21

  7. 昼間の眠気を追い出す仮眠のコツ|一日の過ごし方|熟睡のためにできること|快眠方法・安眠方法

    昼間の眠気を追い出す仮眠のコツ

    2019.06.24

  8. 睡眠時は鼻呼吸をしないと危険|睡眠中の気になるあれこれ|睡眠の基礎知識|快眠方法・安眠方法

    睡眠時は鼻呼吸をしないと危険

    2019.06.21

  9. トリプトファンって睡眠サプリに配合されているけど、効果は期待で…

    2018.08.28

  10. 女性ホルモンが睡眠にもたらす影響とは 更年期や妊娠を期に睡眠状態が変わる?

    女性ホルモンが睡眠にもたらす影響とは 更年期や妊娠を期に睡眠状…

    2019.06.24

  1. 睡眠薬に関する4つタイプとは?

    2018.08.08

  2. 喫煙者は睡眠不足!睡眠の質と深い眠りに悪影響!|睡眠を妨害するもの|睡眠の基礎知識|快眠方法・安眠方法

    喫煙者は睡眠不足!睡眠の質と深い眠りに悪影響!

    2019.06.21

  3. 金縛りはレム睡眠時の覚醒が原因|睡眠中の気になるあれこれ|睡眠の基礎知識|快眠方法・安眠方法

    金縛りはレム睡眠時の覚醒が原因

    2019.06.21

  4. アロマを利用して睡眠の質を高める|環境づくり|熟睡のためにできること|快眠方法・安眠方法

    アロマを利用して睡眠の質を高める

    2019.06.24

  5. 肥満肺胞低換気症候群(OHS)は肥満が原因で発生する呼吸障害|睡眠に関係する病気の種類|睡眠に関係する病気|快眠方法・安眠方法

    肥満肺胞低換気症候群(OHS)は肥満が原因で発生する呼吸障害

    2019.06.24

  6. 睡眠時随伴症(パラソムニア)が発症した時の対処法|睡眠に関係する病気の種類|睡眠に関係する病気|快眠方法・安眠方法

    睡眠時随伴症(パラソムニア)が発症した時の対処法

    2019.06.24

  7. 睡眠サプリに配合されているテアニンってどんな効果があるの?

    2018.08.29

  8. 睡眠時無呼吸症候群の症状と原因とは?対処法は2つある|睡眠に関係する病気の種類|睡眠に関係する病気|快眠方法・安眠方法

    睡眠時無呼吸症候群の症状と原因とは?対処法は2つある|睡眠に関係…

    2019.06.24

  9. 子供の時期別睡眠時間!気をつけるべきポイント!|世代別の注意点|熟睡のためにできること|快眠方法・安眠方法

    子供の時期別睡眠時間!気をつけるべきポイント!

    2019.06.24

  10. 夜にリラックスして過ごすことで睡眠の質を高める|一日の過ごし方|熟睡のためにできること|快眠方法・安眠方法

    夜にリラックスして過ごすことで睡眠の質を高める

    2019.06.24

  1. レストレスレッグス症候群(RLS)はどんな病気? 症状と要因、対処法を徹底解説|睡眠に関係する病気の種類|睡眠に関係する病気|快眠方法・安眠方法

    レストレスレッグス症候群(RLS)はどんな病気? 症状と要因、対処…

    2019.06.24

  2. 睡眠サプリに配合されているテアニンってどんな効果があるの?

    2018.08.29

  3. 朝食で炭水化物とカフェインを摂取してよい目覚めを!|食事|熟睡のためにできること|快眠方法・安眠方法

    朝食で炭水化物とカフェインを摂取してよい目覚めを!

    2019.06.24

  4. 寝相の注意点と性格分析|睡眠中の気になるあれこれ|睡眠の基礎知識|快眠方法・安眠方法

    寝相の注意点と性格分析

    2019.06.21

  5. 快適な布団を保つためのお手入れ方法|環境づくり|熟睡のためにできること|快眠方法・安眠方法

    快適な布団を保つためのお手入れ方法

    2019.06.24

  6. グリシンって睡眠サプリに配合されているけど、効果は期待できる?

    2018.08.18

  7. シニア世代の睡眠の質を改善するために|世代別の注意点|熟睡のためにできること|快眠方法・安眠方法

    シニア世代の睡眠の質を改善するために

    2019.06.24

  8. 不眠症のタイプ別分類とすぐに試せる解消法|睡眠に関係する病気の種類|睡眠に関係する病気|快眠方法・安眠方法

    不眠症のタイプ別分類とすぐに試せる解消法

    2019.06.24

  9. 簡単に実践可能!快適な睡眠環境づくりのためにできること|睡眠を妨害するもの|睡眠の基礎知識|快眠方法・安眠方法

    簡単に実践可能!快適な睡眠環境づくりのためにできること

    2019.06.21

  10. 体内時計とは?種類や調整方法について【25時間周期は間違い】

    2018.08.11

  1. 寝る前に食事すると太る?夜中にお腹が空いた時はどうするか|食事|熟睡のためにできること|快眠方法・安眠方法

    寝る前に食事すると太る?夜中にお腹が空いた時はどうするか

  2. 睡眠時は鼻呼吸をしないと危険|睡眠中の気になるあれこれ|睡眠の基礎知識|快眠方法・安眠方法

    睡眠時は鼻呼吸をしないと危険

  3. 快適な布団を保つためのお手入れ方法|環境づくり|熟睡のためにできること|快眠方法・安眠方法

    快適な布団を保つためのお手入れ方法

  4. 朝日を浴びることで睡眠の質が上がる|一日の過ごし方|熟睡のためにできること|快眠方法・安眠方法

    朝日を浴びることで睡眠の質が上がる

  5. うつ病と睡眠障害は両方治療が必要|睡眠に関係する病気の種類|睡眠に関係する病気|快眠方法・安眠方法

    うつ病と睡眠障害は両方治療が必要

  6. 睡眠をとれば苦手な内容でも理解が進みアイデアが浮かぶって本当?|睡眠の仕組み|睡眠の基礎知識|快眠方法・安眠方法

    睡眠をとれば苦手な内容でも理解が進みアイデアが浮かぶって本当?

  7. 薬物的原因で不眠症になる前に知っておきたいこと

  8. 寝相の注意点と性格分析|睡眠中の気になるあれこれ|睡眠の基礎知識|快眠方法・安眠方法

    寝相の注意点と性格分析

  9. 睡眠薬を安全に効率よく摂取する方法|睡眠薬とは|睡眠に関係する病気|快眠方法・安眠方法

    睡眠薬を安全に効率よく摂取する方法

  10. 概日リズム睡眠障害を改善し身体のリズムを整えよう|睡眠に関係する病気の種類|睡眠に関係する病気|快眠方法・安眠方法

    概日リズム睡眠障害を改善し身体のリズムを整えよう