仕事の関係で、どうしても夜勤がある方もいると思います。
夜勤がある前日は、早めに寝るなどの対策をしていても、深夜になると眠気を感じてしまう方もいるのではないでしょうか?
ひどくなると、朝の通常業務でも、眠気や疲労感を感じてしまいます。
このような状況を、どのように改善していけばいいか解説していきます。
夜間勤務の人が2割は、交代勤務性睡眠障害
夜間勤務をしている人は、交代勤務性睡眠障害になっている可能性が高いと言われています。
夜勤の仕事についている人は、約2割が経験していると言われている睡眠障害です。分類上では、生理的原因に該当します。
医者やナース、道路工事の職員などのシフトで働いてる人で、深夜勤務があると朝夜で関係なく強い眠気や疲労感を感じることはあります。
転職サイトなどでは、夜勤勤務が辛いというコメントがされています。
眠気や疲労感が原因で、ミスしないか不安
仮眠時間はあるけど、休めなくて辛い
最初はやる気があったけど、夜勤が続き気力がなくなった
夜勤の仕事は、人の生活や命に関わる大切な仕事が多いです。交代勤務性睡眠障害になると、やる気を失い人命に関わる大きなミスに繋がることもあります。
夜勤業務をしている人だけでなく、会社や病院の問題でもあります。
では、どれくらいの人が、交代勤務性睡眠障害になっているのでしょうか?
2002年の研究によれば、看護師の約4割は不眠症という結果が出ています。特に若い人は、不眠症を発症しやすいです。これは、下記のような理由が考えられます
若い人が不眠症を訴えやすい理由
仕事の不安やストレスで、不眠症になっている
夜勤に不慣れ
夜勤に慣れない人は、若いときに離職している
交代勤務性睡眠障害は、高齢者がなりやすいと言われています。会社や業務内容により変動はありますが、夜勤の仕事をしている人の約40%は眠れないことで悩んでいます。
同様の資料に、睡眠薬を服用しているか、過去に服用していた人が25%になっていることを考えると、本気で悩んでいる人が多いことが分かります。
交代勤務性睡眠障害になってしまうと、不眠症だけでなく下記の状態を引き起こすこともあります。
交代勤務性睡眠障害になると表れる不調
食欲の変化
下痢
眠ることができない
便秘
身体がだるい
参考:好きになる睡眠医学
世界保健機関WHOの下部組織である、国際がん研究機関IARCによれば、交代勤務性睡眠障害は、発がん性せいリスクをヒトに対しておそらく発がん性リスクがあると判断しています。これは上から2番目に高い基準です。
参考:交替制勤務者の発がんリスク評価に関する時間生物学の進展
大切な仕事が夜勤には多いですが、可能な限り対策をとる必要があるでしょう。
診断基準は、どのようになっているのか?
交代勤務性睡眠障害の診断基準は、交代勤務をしている不眠症の人は、交代勤務性睡眠障害と多くの医師が判断しています。
国際的基準は、下記のように定義しています。
最低1ヶ月の交代勤務で、症状が随伴している
通常の睡眠時間に重なる勤務時間帯の反復によって、時間的に随伴することで、不眠や過度の眠気がある
交代勤務性睡眠障害は、他の睡眠障害や身体疾患、精神疾患や精神疾患、薬物使用または物質使用障害では説明することができない
最低7日間、アクチグラフや睡眠日記を記録すると、睡眠時間調整と概日的調整の乱れが確認できる
これを分かりやすくすると、定期的な夜勤があり、不眠や眠気がある状態ということです。つまり、常時夜勤勤務の場合は、該当しないということです。
また、最低1ヶ月間は夜勤の仕事をしていると該当します。1ヶ月間にわたって継続しているのは、不眠症と判断する最低限のラインになっています。
不眠症かどうかを診断する為には、アクチグラフや睡眠日記を利用するといいです。記録を確認して、不眠症のデータが出れば、交代勤務性睡眠障害と判断されることになります。
アクチグラフは20万程度購入すると必要になるので、個人で判断したいときは睡眠記録をつけるようにしましょう。
なぜ、眠れなくなってしまうのか
交代勤務性睡眠障害は、なぜ起きてしまうのでしょうか?
理由は体内時計が狂ったからなのですが、それだけではない難しい面もあります。この難しさには、交代勤務性睡眠障害は、現代医学で改善方法がないからでもあります。
人間の身体には、体内時計がいくつも存在しています。
太陽の光でリセットされる体内時計
睡眠によりリセットされる体内時計
常に一定のリズムを刻んでいる体内時計
夜寝ることにより、バランスが保たれています。リセットするタイミングがズレてしまうと、交代勤務性睡眠障害に繋がってしまいます。
夜型人間でなければ、ズレを短期間で修正するのは難しいです。
厄介なのは、ホルモンがズレることで、脳内の扁桃体や前帯状皮質に異常が発生することです。それにより、恐怖への反応を強めてしまい、感情の反応が低下します。
統合失調症や境界性パーソナリティ障害などの症状も、同じ脳内の箇所で異常があるので、治療の難しさが分かると思います。
寝れたと思えるようになるテクニック
交代勤務性睡眠障害は、現代医学では改善方法はないことを解説しました。
医学的に見ると改善方法はありません。しかし、これは患者が何を求めているかにより、定義が変わるはずです。
精神的に眠れたと思うための手段があるので、それを紹介していきます。
個人差や仕事により、効果は違います。都合にいいものを選んでみてください。
遮光カーテンの使用
夜勤の前は、多くの人が朝に眠ります。そういうときには、可能なかぎり太陽の光は浴びないようにするべきです。
メラトニンなどの睡眠に大切なホルモンの多くは、太陽の光により体内時計はリセットされます。
遮光カーテンなどを使用することで、夜を演出し体内時間をズラせるようになります。
光目覚まし時計の使用
遮光カーテンと一緒に使いたいのが、光目覚まし時計です。光目覚まし時計を使えば、強い光を浴びると身体に朝を知らせ、体内時間をリセットできます。
光療法という不眠症の治療があり、不眠症専門病院はこの処置をしています。インティであれば、光目覚まし時計として性能は申し分ありません。
治療目的なら、強い光を放つ蛍光ランプを6つ用意し、1日30分浴びれば安上がりです。
シャワーをきちんと浴びる
夜勤があるときは、朝にシャワーを浴びる人もいるでしょう。人間の体温は寝ると下がります。そして、起きると上昇するようになっています。そのため、シャワーなどの熱いお湯を浴び、体温が上昇すると眠気が改善するようになっています。
お風呂に浸かってしまうと、気持ちよくなり眠ってしまう危険性があるので、注意が必要です。
仮眠を取るようにする
仮眠を取ると、眠気が飛ぶと言われています。そのため、一時的であれば眠気を覚ませます。日本看護協会は、夜勤時であれば1時間の仮眠を推奨しています。
人によっては仮眠を取ると、余計辛くなってしまうという人もいます。これは仮眠のリラックス効果より、睡眠を中断された拒否反応が大きいために起きてしまいます。
このような人は眠らずに、仕事の事を考えないようにして、頭の中を空にして、ボーとするのがいいでしょう。
それだけでも、身体や脳は休めるので、多少は楽になるでしょう。
交代勤務性睡眠障害のまとめ
夜勤をしている人の約40%は、交代勤務性睡眠障害になっているが、治療は存在しない
夜勤の人が眠れないと思ったときは、交代勤務性睡眠障害になっている可能性が高い
看護師や介護士などの仕事は、辛いと言われることが多いが、その原因の1つが、交代勤務性睡眠障害の不眠症
インティや遮光カーテン、光目覚まし時計を使うことで、精神的な疲労を軽減できる可能性がある
一般的な場合は、不定期な夜勤を継続的に行うと、少しずつ体内時計が狂い、このような不眠になります。勤務し続ければ、慣れることはできるかもしれませんが、薬で眠りたくなるくらい苦しくなります。
眠れないことによるイライラを抑えるために、体内時計を操作できるような生活習慣を送ることが大切です。